珈琲の道具

焙煎とはなにか?家庭用焙煎機でコーヒー豆を焼いてみよう

焙煎コーヒー

コーヒー焙煎を自宅でしたいと思っている人は多いと思います。

ただ、興味はあるんだけども難しそうに思えて、出来ないと諦めてしまっているのでは無いでしょうか?

各位言う私も、この珈琲焙煎の世界に入れたのは、目の前でコーヒー豆を焼いてくれる、オンデマンド珈琲豆屋が、たまたま住まいの近くにあったからです。

初めて見た時「これなら私でも出来そうだな…」という予感のようなものがありました。

注文した豆が目の前で焼けるのを見ながら、サービスで出される一杯の珈琲を飲んでいる時は何とも言えない幸せを感じました。

そんな至福の一時を少しでも多くの人と分かち合いたいと思い、自宅焙煎の方法を書かせて頂きます。

自宅焙煎の珈琲を飲もう自宅焙煎の珈琲を飲もう

焙煎とは何か?なぜ自宅焙煎するのか?

自分で珈琲豆を焼くメリットを考えてみました。動機が大きい順で書くと

  1. 焙煎が好き
  2. コストパフォーマンス良し
  3. 市販の珈琲豆が美味しくないから

①焙煎が好きだから

珈琲豆の焙煎をしていると、特殊な経験ができます。それは珈琲豆の焼ける香りを嗅ぐことができるのです。

焙煎によって出る焼き香りの楽しみは、焙煎士にだけ許された特権です。

わたしはこの珈琲の焼き香りを楽しむために焙煎士をしているのかもしれません。

②コストパフォーマンスが良いから

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珈琲のヘビーユーザーになると1日5杯以上飲むとかは普通です。

スペシャルティ珈琲を買って飲むと、一杯のコストは100円位になってしまいます。

1日500円、1か月1.5万円です。。。夫婦で飲んだら3万円、家族4人で飲んだら6万円。珈琲代だけで食費を上回りそうです。

生豆を買って自分で焙煎すると、コストは3分の1ぐらいになります。

自宅焙煎する一番のメリットはこれかもしれませんね。

③市販の珈琲豆が美味しくないから

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いつ焼いたかもわからない鮮度の悪い珈琲は飲むと胸やけがします。

お客様もよそでセールの珈琲豆を買ってしまって、結局は飲めないとかよく聞く話です。

自分で1週間分くらいまとめて焙煎すれば、とりあえず鮮度はバッチリです。週一回焙煎すれば、3か月もすれば立派な焙煎士です。

フライパン焙煎をしてみる

コーヒーの歴史が一番古いエチオピアでは、自宅で珈琲豆を焼くのが普通です。

ローストの道具はフライパン等です。

という事でどこの家庭でもある、フライパンを使っての自家焙煎に挑戦してみます。

便利な世の中になったものでコーヒー生豆はネットですぐに買えます。

お好みの生豆を買ったら、焙煎の準備に掛かります。フライパン焙煎の良い所はどこでも出来ることです。プラス少し工夫をすれば、奇麗に、簡単に、美味しくできます。

①生豆を洗う

珈琲生豆を洗う珈琲生豆を洗う

焙煎していると分るのですが、チャフと呼ばれるうす皮が沢山出ます。これを最初に水に漬けて洗い流してしまうと後始末が楽です。

a,最初に3分から5分程度、水に漬ける

b,米とぎの要領でザクザクと揉み洗い

c,水を切って準備完了

洗った珈琲生豆の水を切る洗った珈琲生豆の水を切る

今回使う生豆は200gです。慣れれば、大きなフライパンで300g位一度に焙煎できます。

生豆の洗い方は下の動画を見て下さい

②フライパン焙煎

フライパン焙煎で用意する道具は、

フライパン珈琲焙煎の道具フライパン珈琲焙煎の道具

①洗った珈琲生豆約200g ②フライパン等 ③コンロ  ④ヘラ  ⑤ざる  ⑥ドライヤー等

フライパンの焙煎は、まんべんなくかき混ぜるのがミソです。均一に火を通してください。

a,水抜き(約10分間)

中火で徐々に加熱します。珈琲豆の中心と表面の水分を均一にします。火力が強すぎると表面だけ焦げるので、チャーハンを焼く様な感じでまんべんなく加熱します。あと、ヘラでこぼれない様に混ぜるのをお忘れなく。

b,一ハゼ(約3分間)

焙煎で割れる珈琲豆のセンターカット焙煎で割れる珈琲豆のセンターカット

中火で加熱していると 黄色 ⇒ 茶色 に変色してきてパチパチと断続的に音がします。これを一ハゼと言います。

一ハゼは、センターカットが加熱で割れる音です。火力が強すぎると、一ハゼが起きないで、表面だけ焦げます。

一ハゼが始まったら火力を強めて良くかき混ぜながら二ハゼに向かいます。

c,二ハゼ(約3分間)

二ハゼのピークで焙煎止めする二ハゼのピークで焙煎止めする

火力を強めて2~3分程すると今度はピチピチと細かな音の、二ハゼが始まります。

珈琲豆の中心に火が通った合図です。中心が膨れて弾けた音が、二ハゼです。二ハゼが始まったらよくかき混ぜて、二ハゼのピークまで炒めます。二ハゼのピークに達したら火を止めて、余熱で二ハゼの後半まで炒めます。

火力調整して二ハゼをなるべく長く保つのがコツです。

d,冷却

満遍なく色づいたら、ざるに開けて、ドライヤーで冷ましながらチャフを落とします。

早く冷ます方がいいのですが、慌てる必要はありません。2、3度練習すれば出来ます。

豆の温度が80度以下になれば、焙煎の進行は止まります。

後は、お好みの抽出方法で飲んでください。
フライパン焙煎の動画を貼っておきます。

下の焙煎動画は器材の紹介と豆の投入
後半の焙煎動画は一ハゼ~焙煎止め冷却

フライパン焙煎の良い所は、手持ちの道具で出来ることです。フライパンの代わりにコッヘルや、ミルクパンを使ってもできます。

難点は、焙煎ムラが出来ることです。ですのでどうしても深煎り(二ハゼの後半)まで焼く必要が出てきます。味は意外とスッキリです。

焙煎器は珈琲を消費する量で決める

珈琲豆を焼く道具をザックリ分類すると

  1. フライパン
  2. ゴマ煎り器
  3. 銀杏煎り器
  4. 小型ロースター
  5. 大型ロースター

大体こんなもんでしょうか?

焼き具合もそれぞれ違いますが、決定的な違いは焙煎量です。それぞれ説明すると・・・

①フライパン

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結構沢山焼けます。中華鍋なら500g位一度に焼けるでしょう。珈琲約40杯分です。

ただ、うまく焼くにはテクニックや腕力がいります。チャーハンを焼くのが得意なお父さん向きの焙煎機です。

珈琲豆の味は見た目のギラギラと違い、結構アッサリです。

焼いてすぐに美味しいので、中々使えます。ただ、業務用にするにはちょっと・・・

②ゴマ煎り器(ホウロク)

ゴマ煎り器を使って珈琲豆を焼く方法です。

フライパン等と違って軽くて小さいので女性でも扱えます。一度に最大60g(珈琲5杯分)くらい焼けます。

ホームパーティーで、ほうじ茶の様に焙煎すれば注目の的でしょうね。

フライパンと違って、自分で酸味や苦みなどの味を作ることも出来ます。

難点は焙煎量が少ないことです。

③ギンナン煎り器(大きな手網)

ゴマ煎り器の大きなものです。特徴は、

a,網目が荒いのでチャフがコンロに落ちていきます。

汚れるのが気にならないなら珈琲豆を洗わなくてもチャフが燃えて燻り臭くなりません。

b,一度に350g位焼けるので(珈琲30杯分位)自宅用や、小さな喫茶店はこれでいけます。

当店では卸の仕事もしているのですが、ローカルな喫茶店では珈琲の1日の消費量は10~20杯程度です。

手網で自家焙煎すれば、高品質で新鮮な珈琲も提供できます。私が小さなカフェオーナーならこれを使います。

c,焼いてすぐに使える。これは、フライパン、ゴマ煎り器、銀杏煎り器に共通している事ですが、焼いてすぐに飲んでも味がでます。

ただ、直に味が出る分、1週間位で風味が抜けます。週に1.2度焙煎すれば丁度いいです。

④小型ロースター

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ローカルな自家焙煎珈琲豆店用です。

当店ではこれを3~4台並べて、毎朝その日に売れる珈琲豆を、少量ずつ焙煎しています。

特徴は、小ロットの焙煎なので沢山の種類の珈琲豆を扱えることと、焙煎鮮度がバツグンな事です。

欠点は多量生産しにくいので、急な大型注文に対応しにくいことです。

小さなロースターをしたい方向けです。

⑤大型ロースター

Diedrich Roastersさん(@diedrichroasters)がシェアした投稿

一度にたくさんの量の珈琲豆を焼けます。

卸主体の店や、全国規模の流通に乗せるのに好都合です。

ただ、どうしても焙煎鮮度が悪くなるので、正直好きではありません。

こんな感じで、珈琲の消費量によって、自分に合った焙煎機を選んでください。

焙煎度合いは音で判断する

同業の珈琲豆屋さんからたまに、”焙煎の基準が分からない。”とか、”美味しい珈琲って何だろう?”とか、尋ねられます。

何でなのかなーと考えると要するに世の中の珈琲焙煎の基準が間違っているからです。

特に大きな流通に乗せている珈琲豆屋は2ハゼに入る前に焙煎止めする事が多いです。

今はやりのサードウェーブ?とかいうものも、なぜか2ハゼ前の浅煎りを推薦しています。

珈琲に限らず、ローストというものは、中心までしっかり熱を通すことが基本です。

2ハゼに入る前に焙煎を止めてしまう事は、生焼けの状態の珈琲を売っている事になります。

これが、今のスタンダードな珈琲焙煎の問題点です。(というか、これが諸悪の根源です)

珈琲豆の中心までシッカリと加熱する。

珈琲豆の適切な焙煎度合いは、2ハゼに入った直後から珈琲豆が炭化する前の2ハゼが終わるまでという事です。

この範囲内で焙煎すれば、ホボ間違いのないローストができます。美味しくて膨らむ焙煎度合は、2ハゼの範囲内です。

2ハゼは珈琲豆の中心に火が通って、組織全体が膨らんではじける音です。

つまり、2ハゼが始まっていない珈琲豆は、中心部分にまで熱が通っていない事になります。

いわゆる生焼けです。

1,2ハゼの音だけでも焙煎はできます。

ゴマ煎り器で焙煎してみる

ゴマ煎り器で珈琲焙煎ゴマ煎り器で珈琲焙煎

焙煎は1、2ハゼの音ですることを踏まえて、一番簡単に珈琲豆を焼ける、ゴマ煎り器で、焙煎をしてみます。

焙煎入門にはこのゴマ煎り器が最適です。

とりあえずこれで珈琲豆を焼いてみて、続けられるか? 面白いか? メリットはあるか? 判断して大きな焙煎機に移ればいいと思います。

用意するものは

①チャフを洗った珈琲生豆50g ②コンロ ③ゴマ煎り器  ④ざる  ⑤冷却器  ⑥手袋

a,水抜き(約10分)

ゴマ煎り器とコンロの距離ゴマ煎り器とコンロの距離

最初は、中火で焙煎を始めます。コンロと焙煎機の間は15㎝位です。ゴマ煎り器は底が鉄で、上が網になっています。

鉄の部分に火を当てれば遠赤外線効果の熱風焙煎。

網を下に向ければ直火式の焙煎になります。

この段階は、慌てないで出来るだけゆっくり時間をかけて行うことがコツです。

黄色 ⇒ 茶色にすべての珈琲豆が満遍なく色づく様に良く振って加熱します。

b,一ハゼ(約3分間)

良く振って均一に焙煎する良く振って均一に焙煎する

センターカットが割れてパチパチと断続的にはぜる音がしたら一ハゼの始まりです。

ひっくり返したりよく振ったりして均一に熱を与えてください。

c,二ハゼ(約3分間)

ひっくり返して均一に焙煎ひっくり返して均一に焙煎

約3分すると、二ハゼが始まります。

ピチピチと絶え間なく小さくはぜる音がしたら。中心部分にまで火が通った合図なので、ここで焙煎を終えても飲めます。

味は酸味が特徴の物になります。

二ハゼが始まってハゼの音がピークに達するまではホット珈琲の領域です。お好みで焙煎止めして味を決めてください。

アイス珈琲用として使う場合は、さらに過熱します。二ハゼが収束して、煙が上がるまで加熱します。

二ハゼの音が鳴りやむ位がアイス珈琲用の、焙煎度合になります。

アイスコーヒーに関しては下のブログをご覧ください。

アイス珈琲
アイス珈琲の作り方と作り置きの方法アイス珈琲の使い方と作ったアイス珈琲の作り置きの仕方。アイス珈琲は傷みやすいので、保存にはミルクかシロップを入れると良い。...

d,冷却

焙煎止めのタイミング焙煎止めのタイミング

焙煎を止めるポイントに来たら素早くザルに開けてドライヤー等で冷却します。

逆に冷却しないでホッタラカシにして焙煎を進めることも出来ます。余熱焙煎ですね。

何度か焙煎すれば、すぐに分る様になります。お好みでご自分の味を追求してください。

ゴマ煎り器を使っての焙煎動画を貼っておきます。

焙煎動画前半は器材の紹介と水抜
焙煎後半は一ハゼ~冷却まで

焙煎チャートはあてにしない

10段階の珈琲豆焙煎チャート10段階の珈琲豆焙煎チャート

珈琲豆の焼き具合を決める方法はL値(明度)を測ってする方法が一般的です。

要するに見た目ですね。

すぎた珈琲が飲用に適しているとする焙煎度合いは二ハゼの範囲シティ~イタリアンまでです。

大きな焙煎所では、L値を指定して珈琲豆を焙煎しています。しかし、これが曲者です。

なぜかというと、同じ見た目に珈琲豆を焼いても、同じ味にならないからです。

私も当初、見た目で珈琲豆を焙煎していたのですが、どうしても同じ味にならなくて困ったことがありました。

同僚のパートナー店長にその事を質問すると、「私は匂いで焼いてるよ」という返事が返ってきました。

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それ以来私も視覚に頼ることなく、音と、匂いで焙煎することにしています。

なんだか難しい話になりましたが、要するに二ハゼに入ったらクンクンよく匂いを嗅いで、美味しそうな煙が上がったら、焙煎を止めるという事です。

匂いを嗅ぎ過ぎて気持ち悪くなる事もあるので、その辺は各人で加減してください。

焙煎度は珈琲豆のグレードで決める

適切な焙煎度合は、珈琲豆のグレードで大体わかります。

なぜかというと、加熱は珈琲豆を飲める状態に化学変化させる意味と、もう一つは、欠点を飛ばす為にしているからです。

中心まで火が通って飲める状態になるのは、二ハゼの始まりで分かります。

次に珈琲豆の欠点を加熱で飛ばすことが必要になります。

欠点とはつまり、

  1. 未熟豆
  2. 精製不足
  3. 化学物質の有無
  4. ピッキング不足

大体これくらいです。それぞれ説明すると

①未熟豆

珈琲豆は完熟品ばかり集めている訳ではありません。未熟な珈琲チェリーが混入していることも結構あります。

ビジネス珈琲と呼ばれるローグレードのアラビカ珈琲は完熟豆、未熟豆など様々な熟度がブレンドされています。

未熟豆と完熟豆は二ハゼのタイミングが違います。よって遅いタイミングの豆に焙煎を合わせる必要があります。

②精製不足

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収穫された珈琲チェリーは外皮を剥いたり、水に漬けたり、乾燥させたりします。

その過程が適切でないと、珈琲豆に嫌なにおいが付いたりします。

コーヒーの精製に関しては下のブログを読んで下さい。

ナチュラルプロセスコーヒーとはどんな精製の珈琲豆か?ナチュラルプロセスコーヒー豆とは、水を使わないで精製する方法である。ナチュラル珈琲はチェリーのまま乾燥させた後、脱穀する精製方法である。カップは独特の発酵臭があり、主にブラジルやモカ珈琲を作るときに使われる精製法である。...

③化学物質の有無

珈琲豆を栽培する過程で、様々な化学物質を使う場合があります。

農薬や化学肥料です。これらを沢山与えた珈琲豆はエグミがでます。農薬を飛ばすためにもかなり加熱しないといけません。

自然栽培で作られたスペシャルティ珈琲豆は浅煎り傾向になり、化学物質まみれの農法で作られた珈琲豆は深煎りの傾向になります。

④ピッキング不足

欠点豆の除去は、いろんな場面でされます。

未熟なチェリーを除去したり、乾燥させてからもハンドピッキングしたりします。

その過程がおろそかだと、虫食いの豆や、腐敗した豆、潰れた豆などが混入します。

これらは加熱によってエグミを飛ばします。

上記を焙煎度合いに当てはめてまとめると

①二ハゼ直後の珈琲豆(シティロースト)

トップスペシャルティ珈琲(当店が主に扱ってる、グレードスコアー85点以上のもの)、モカ・マタリ(豆の肉厚が薄い品種など)、ブラジル系(低地で収穫されるため)

②二ハゼ約一分後が適切な豆(フルシティ)

スコアー76点から84点ぐらいのプレミアム&スペシャルティ珈琲豆。

よく見かける銘柄ではエーデルワイスやクレオパトラがこれにあたります。

③二ハゼピークが適切な珈琲豆(フレンチ)

一般的なビジネス珈琲(ガテマラSHBや、コロンビア・スプレモなど)

④二ハゼ終わり頃が適切な豆(イタリアン)

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マンデリン(スマトラ式で乾燥させるため)アイス珈琲用珈琲豆

要するに、二ハゼ直後で焙煎止めする珈琲豆は、自然栽培で育てられた完熟チェリーだけを集めた珈琲と、品種的に肉薄な豆、低地で取られるブラジルの珈琲です。

逆に深煎りは欠点が多い豆や、特別な用途の為に深煎りにする珈琲という事になります。

深煎りコーヒー
コーヒーの深煎りはドリップがおすすめコーヒーの深煎りは英語でdeeproastという。深煎りは浅煎りや中煎りに比べると、カフェインが少なくなり、豆の表面に油が浮く。フルボディの味わいで、酸味は少なくなり、ドリップ抽出におすすめの焙煎の種類である。...

ギンナン煎り器での焙煎する

銀杏煎り器で珈琲焙煎銀杏煎り器で珈琲焙煎

焙煎止めの事など色々書きました。次にヘビーユーザーや小さなカフェオーナー向けの焙煎機、銀杏煎り機で珈琲豆を焼いてみます。

この焙煎機は、最大で350g(珈琲30杯分)ほど一度に焼けるので、一週間単位で焙煎するのに最適です。

味が枯れるのも一週間~10日なので、消費量に合わせて焙煎して下さい。

用意するものは

①珈琲生豆200g ②コンロ ③銀杏煎り器  ④クリップ ⑤冷却器  ⑥手袋 ⑦ざる

a,水抜き(約10分)

熱のカーテンで焙煎機を包む熱のカーテンで焙煎機を包む

銀杏煎り器に珈琲生豆をセットして、四方をクリップで止めます。一度振ってみて豆が飛び出さないか確認してください。

最初は、中火でゆっくりスタートします。コンロと焙煎機の距離は15㎝位です。

銀杏煎り器は網目の荒いスチールで出来ているので、チャフが隙間から落ちます。コンロが汚れるのが気にならなければ、洗浄していない生豆を使ってもチャフ臭くなりません。

焙煎のコツはコンロと焙煎機の距離、つまり火力です。近すぎると表面だけ焦げますし、遠すぎると生豆に熱が伝わらないです。

熱のカーテンで焙煎機を覆うようなイメージで焙煎します。

2,3度焙煎すれば要領はすぐにわかります。あとは均一に加熱するために、とにかく絶え間なくよく振ることです。

この段階は出来るだけゆっくり時間をかけて行ってください。味の良しあしはこの過程でかなり決まってしまいます。

色の変化は把握しやすいので、満遍なく均一に色づく様にします。

b,一ハゼ(約3分間)

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一ハゼ、二ハゼですが、ハゼをうまく誘導できてると、加熱過程が順調だという事です。

珈琲焙煎ですがフライパン焙煎は焼くというイメージですが、手網焙煎は熱風で蒸し焼きにするというイメージです。

熱のカーテンで網を覆うというのは、直火で焼くのではなく、ガスコンロと、網の間に形成される熱風を維持するという事です。

c,二ハゼ(約3分間)

良く振って均一にロースト良く振って均一にロースト

加熱を続けると約3分後二ハゼが始まります。

二ハゼは中心まで火が通ったという合図なので、ここで焙煎を終えても大丈夫です。このポイントは酸味が特徴的な珈琲になります。

お勧めの焙煎度合いは、バランスの取れた味の中深煎り(フルシティ)です。二ハゼが始まってから約2分ほど経過した所です。

お持ちの珈琲豆で適切な焙煎度合いは変わりますので、どこがポイントなのか探ってください。2,3度焙煎すれば理想的なポイントが分かります。

アイス珈琲にするときは、更に加熱します。二ハゼが終わるくらいがアイス珈琲に適した焙煎度合いです。珈琲は冷やすと酸味だつので、焙煎で苦くしておくわけです。

d,冷却

余熱で焙煎を進める余熱で焙煎を進める

二ハゼの音の出具合で焙煎止めするポイントを決めます。ここという所に来たら、素早くザルに開けてドライヤー等で冷却します。

ザルに開けてみて、もう少しローストしたいなと思ったら冷却せずにそのまま放置します。珈琲豆は240度位の温度なので、余熱で焙煎が進みます。

数回同じ豆で焙煎すれば、適切な焙煎度合いが分かるので、後は回数をこなすだけです。

銀杏煎り器を使っての焙煎動画を貼っておきます。

前半の焙煎動画は器材の用意と水抜き
後半の焙煎動画は一ハゼ~冷却まで

珈琲焙煎のコツですが、ゴマ煎り器も銀杏煎り器も熱量を一定にするために、コンロと手網の距離を常に一定にすることです。

距離が短いと表面だけ焙煎が進みます。距離が長いと、熱風のカーテンが形成されないで、いつまでも焙煎が進みません。お手持ちの器材で丁度良い距離を探してください。

適切な焙煎度合は1か所だけ

珈琲豆の味を決定するのは、焙煎という工程です。しかし、適切な焙煎度合いというものは、その豆固有のものであって、焙煎士が自由に決められるものではありません。

わたしたち焙煎士の仕事は、珈琲豆が奏でる音色に聞き耳を立て、香りを嗅ぎ、その豆が欲するままに焼いてあげるだけです。

それをシティローストがなんたらとか、フレンチローストが旨いとか、そんなものは何の役にも立ちません。

わたしたちが考える適切な焙煎度合いは、すでに決まっていて、勝手にそれを変える事は出来ないのです。

真摯に珈琲豆と向き合って、その豆が望むままに焼いてあげればイイだけです。

あと、熱源の事ですが、炭火焼きとか、遠赤外線とか、直火とか、熱風焙煎とかいろいろありますが、焙煎という行程はフライパン焙煎以外は、ホボ熱風焙煎で遠赤外線の効果で焼いているので大差ありません。

Chris Hamiltonさん(@chris.hamilton.1983)がシェアした投稿

遠赤外線は、石や鉄板、セラミックに火を当てれば発生します。わざわざ炭を起こして焙煎するまでもありません。

炭焼きは、焼き鳥を焼くときには効果を発揮します。それは鳥の油が染み出て、炭に直接落ちるからです。余計な脂分を取り除き、ガスで発生する水蒸気が出ないので、鶏肉が水っぽくなるのを防ぐからです。

珈琲焙煎の熱源はどちらにせよ熱風を発生させるためにあるので、加熱された空気さえ作り出せれば何でもよいのです。

焙煎に使う珈琲生豆の選び方

珈琲生豆の値段はわかりやすくて、基本的に高ければ高いほど品質がイイです。

いろいろなグレードの珈琲豆を買ってみて、ご自分の財布と味覚に応じたものを選ばれればよいと思います。

ただ一部の珈琲豆はブランド化されていて、味以上の値段がついています。代表的な銘柄は、ブルーマウンテンや、ハワイ・コナ、コピ・ルアックです。

これらの銘柄はグレードが低いのに、やたらと高く値段設定されています。

味を追求するであろう、自家焙煎党の方は、ブランドに惑わされることなく、値段に即した味わいの生豆をお買い求めください。

値段の概ねを記すと、

  1. コマーシャル珈琲    g約70円
  2. プレミアム珈琲      g約120円
  3. スペシャルティ珈琲   g約150円
  4. TOPスペシャルティ珈琲 g約190円
  5. トップオブトップ珈琲  g約800円

生豆の入手方法ですが、ネットで探せば沢山出てきます。ただ、トップスペシャルティー以上の生豆は一般には販売されていません。(ゲイシャは地雷なのでお勧めしません)

小さな焙煎機で豆屋を目指す

最後に当店で扱っている小型焙煎機での焙煎風景を説明して終わりにしたいと思います。

この焙煎機は、わたしが所属しているグループ内で独自に開発したロースターです。

当方ではこの焙煎機を使って、毎日早朝その日に売れる分だけの珈琲豆を焙煎して、焼きたてをお客様に販売しています。

また、ネット通販の場合は、焼いたばかりの珈琲豆をその日のうちに梱包して発送します。ですので、お客様の手元に届くのは焙煎してから翌日という事になります。

その他は一般的なロースターよりもたくさんの銘柄の珈琲豆を扱えるという事です。現在当店は約12種類の珈琲豆を扱っています。

業務用の焙煎機の特徴は、沢山焼けるというのも一つですが、家庭用の焙煎機と違って、日持ちするという事です。

家庭用焙煎では一週間位しか味が持ちませんが、業務用焙煎機は一か月程度は日持ちします。(ただ流通に乗せている珈琲豆は無理に浅煎りにして一年間日持ちさせています。)

最初の焙煎動画は生豆の投入

後半の焙煎動画は一ハゼから焼き上がり

焙煎の仕事は見た目ほど華やかではありません。すべての艱難辛苦を背負ってでも、地方のロースターになりたいという方がいましたら、相談に乗りますので、メールを下さい。

珈琲豆の焙煎とは・まとめ

自宅焙煎をする一番のメリットは焙煎鮮度にあります。珈琲を飲んでいて気分が悪くなり珈琲嫌いになる方は結構います。

コーヒーを飲んで気分が悪くなった方と話をしていると、一番の原因は焙煎鮮度が悪くて、珈琲オイルが腐敗した物を飲んだからです。

そんな珈琲を我慢して飲んでいると体にも悪いですし、第一美味しくありません。

チェーン店の鮮度の悪いスペシャルティ珈琲を飲むよりは、ローグレードのアラビカ珈琲を自分で焼いた方がよっぽどおいしいです。

美味しい珈琲を飲みたいのに、美味しい珈琲豆が手に入らないという方は、一度自宅焙煎にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

注文後焙煎、翌日届く、すぎた珈琲のスペシャルティ珈琲は下の画像をクリックしてお買い求めください。

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