皆さん、ブラジルって言葉を聞いて何を連想されるでしょうか?
サッカーとかリオのカーニバルとか、あるいはブラジル珈琲もその中に入っているでしょう。
ブラジルは戦前の移民政策の影響で、日系ブラジル人の方が多数珈琲栽培に従事しておられ、現在も日本とブラジルは国交が盛んです。
日本に働きに来ている日系ブラジル人も多く、すぎた珈琲が扱っているファゼンタ・バウー農園の主人は、日本の自動車工場で働いた経験を生かしてコーヒー農園を経営されています。
(ファゼンダ農園機械化珈琲生産の動画を見る)
世界1の珈琲豆産出国、ブラジル珈琲とはどんな珈琲なのか、その特徴に関して説明します。
ブラジル・サントスの由来
18世紀ごろ、ブラジルで珈琲豆生産の基礎が出来たのは、以下の3つによるものです。
- 国の主導による大規模な奴隷制度
- ヨーロッパ経由での珈琲苗木の植林
- 珈琲大農園によるプランテーション
奴隷制度が廃止されると、日系人の移民などによる賃金労働と、大規模な機械化によるコーヒー豆の生産体制へと移行したのでした。
ブラジル珈琲はファーストウェーブの旗手
ブラジルコーヒーの味の特徴は土地柄からくるヨード臭と、多量生産多量消費のファーストウェーブ珈琲が思い浮かびますが、近年ではサードウェーブ珈琲等のスペシャルティコーヒーの生産も盛んです。
多量生産多量消費の珈琲脱却を目指して設立された、カップ・オブ・エクセレンスの品評会が最初に開催されたのもブラジルでした。
コーヒー界の中心ブラジル
ブラジルはコーヒー豆の産出量が世界一です。(2019年現在、約30%を占めています)
また世界で唯一珈琲の味を評価する、珈琲鑑定士の国家資格を発行している国でもあります。つまり、ブラジル連邦共和国は国の命運をかけて、珈琲作りに取り組んでいるのです。
世界の珈琲相場は、ブラジル珈琲の出来不出来でかなり左右されます。
ブラジルの天候が悪かったり、作付けが不良だと、コーヒー豆の先物取引に影響を与えるのです。つまり、コーヒーの世界はブラジルを中心に回っていると言えます。
ブラジル高原テラローシャ
ブラジルのアラビカ種コーヒーは最も流通量が多いので、ブレンド珈琲には必ずと言ってよいほど入っています。
レギュラー珈琲のブレンドの半分程度はブラジルコーヒーが入っています。
ブラジルのアラビカ種コーヒーは多量に作られ、なおかつバランスの取れた癖のない味わいなので、ブレンド珈琲を作るのに適しているのです。(ブレンドに関しては下記事参照)
ブラジルでこれほど多くの珈琲が取れる理由は、その土地柄にあります。
ブラジルは日本の国土の約50倍あり、珈琲豆の主要栽培地であるブラジル高原はテラローシャと呼ばれる「赤紫色の土」で出来ており、珈琲栽培に最適な気候風土を兼ね備えています。
つまりコーヒー豆栽培に最適な4要素
- 耕地面積が広い
- 熱帯亜熱帯地域である
- 標高が高い地帯である
- 肥沃な火山灰土質である
と言った、珈琲栽培に最適な環境がブラジルのコーヒー農園にはすべて揃っている訳です。
アメリカ主導のコーヒー作り
ブラジルでのコーヒー豆栽培は、アメリカ合衆国の資本が担っています。
ブラジルの珈琲作りは、一番の珈琲豆の買い手でもある、アメリカ合衆国があってこその珈琲農園経営なのです。
(アメリカ珈琲に関しては下記事参照)
ブラジル珈琲が世界をリードしているのは、珈琲作りに最適な気候風土だけでなく、アメリカ合衆国から流入する豊富な資金と、無尽蔵に珈琲を消費してくれる、アメリカ国民がいてこその物だったのです。(2019年現在ブラジル珈琲は自国消費が最大になっています)
ブラジル珈琲は豆としてだけでなく、インスタント珈琲の材料としても沢山使われます。インスタント珈琲の主な買い手もアメリカ軍です。
(インスタント珈琲に関しては下記事参照)
ブラジル珈琲の特徴・まとめ
世界をけん引するブラジル珈琲に関していろいろと見てきました。
2019年現在、コーヒー生産は世界各地に分散しつつあります。
一時は世界のコーヒー豆生産量の80%近くをブラジル産が占めていましたが、現在はその影響力が低下してきています。
ブラジルの珈琲生産は、単なる多量生産・多量消費から、スペシャルティ珈琲などのグルメコーヒーの時代へと変貌しつつあります。
多量生産によって珈琲界の主役だったブラジルが、これからどのように脱皮してより美味しい珈琲を生み出していくかとても楽しみです。