今回は、珈琲の貴婦人と称される独特な風味のモカマタリに関してお話します。
イエメンは最古のモカマタリの産地
珈琲の取引が始まったのは15世紀ごろです。
15世紀ごろ、コーヒーを作っていたのはイエメンとエチオピアだけで、紅海周辺で収穫された珈琲豆はモカ港に集積されて各国に出荷されました。
莫大な利益を生む珈琲交易の権限は、イエメンのユダヤ人が独占していたわけです。
モカマタリとエチオピアモカの違い
モカコーヒーは産地を区別するため、港の名前モカの後に地名が付きます。例を挙げると
- モカ・マタリ
- モカ・ハラー
- モカ・イルガチェフ
- モカ・シダモ
モカは古代の港の名前で、後に続くのは珈琲が収穫された地名を指します。
マタリはイエメン産のコーヒーで、ハラー・イルガチェフ・シダモはエチオピア産の珈琲になるわけです。
イエメンとエチオピアのモカは英語表記でも若干違います。イエメン産は「mokha」エチオピア産は「mocha」となります。
モカマタリの産地について
珈琲発祥の地はアラビア半島のイエメン共和国です。
イエメンは太古の世界では交易の中心地として栄えましたが、ペストの大流行や地理的な原因での紛争が絶えない場所になっています。
国情が安定せず、珈琲生産も不安定なので一定の品質の物を入手する事が困難です。
コーヒー生産は小さな部族ごとで行われ、先祖伝来の土地を大切に守りながら細々と行われています。
モカマタリの味の特徴
イエメン産モカコーヒーの等級分けは明確な物がありませんが、大抵のイエメンモカは香りの良しあしで評価されます。
品質の高い順に書くと、スパイシーな風味が一番高値で取引され、次いでフルーティーな風味が二番目に良い品質となります。
又、イエメンでは伝統的にナチュラルという精製法で珈琲チェリーのまま乾燥させ、バイヤーが現れたのち石臼などで脱穀して売り渡します。
種子の部分は売られ、脱穀した後に残ったギシルというドライフルーツの部分は、煮だして自分たちで飲みます。
モカマタリとイルガチェフの違い
筆者は珈琲豆屋をする前は好んでモカ・マタリを飲んでいました。
しかし、仕事で数多くのコーヒーに接するようになると、モカマタリの発酵臭が気になり始め最終的に全く口にしなくなりました。
モカ・マタリは独特な発酵臭のため珈琲初心者にとっては新鮮な風味に感じますが、珈琲上級者になるとクリアーな方がより味わい深く感じるようになる。
モカマタリ・まとめ
モカマタリの栽培地は樹齢100年以上経っているコーヒーノキも沢山あります。通常珈琲産地は30年が限界と言われています。
このことを見ても驚異的な数字ですが、これは化学肥料や農薬を使わないで土地を守りながら珈琲生産をしている賜物といえます。
珈琲生産の原初の土地イエメンに栄えあれ。